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あなたがそう思うのなら もうそれでいいです

「ゼロ」と「れい」

 私には友と呼べる人がおらず、知り合いも極端に少ないのだが、それでも人に電話番号を口伝しなければならない機会は結構ある。そんなとき、私は人知れず葛藤している。
 「090-」と携帯電話の番号を伝えるとき、ここは「ゼロきゅうゼロ」と言うべきか、それとも「れいきゅうれい」と言ってもいいのか、ということなのである。
 もちろん本来の正解は後者の「れいきゅうれい」である。
 「0」の読みは日本語では「れい」であり、ほかの数字を日本語で読む以上は、「0」も「れい」と言うのが筋だと私は思っているし、実際、NHKのニュースなどで電話番号を伝えるときは、アナウンサーもそのように読んでいる。
 ところが世間一般では「0=ゼロ」が広く浸透しているようで、有名なCMソングにも「ゼロいちにいゼロ~」というものがある。
 通販番組でも、電話番号の案内は聞いたかぎりではほぼ「ゼロ」読みのようで、また、いろいろな問い合わせで電話番号が案内されるときにも、ほとんどが「ゼロ」読みなのである。
 「0」が「ゼロ」なら「1」は「ワン」で「2」は「ツー(トゥー)」だろう!?と思うのだが、そんな読み方をしているのを聞いたことは一度もない。

 かような次第で「0=ゼロ」が大勢を占めている状況を慮って、私も不本意ながら「ゼロきゅうゼロ」と伝えるようにしてしまっている(日和っている)のだが、そのように自分の心を偽ってまで周りに合わせていることへの自己嫌悪から、一度だけ「れいきゅうれい」で伝えたことがある。
 しかし、確認のためにオペレーターが復唱したのは「ゼロきゅうゼロ」であった。
 蟷螂の斧、か……。それ以降、私はささやかな抵抗をあきらめた。
 自分らしく生きるというのもなかなか難しいものだ。

 断わっておくが、以上はあくまでも「ここが日本語ならこっちも日本語でしょう?」という「流れ」にこだわったうえでのことであり、断じて「日本語にこだわった」結果ではない。
 最近では、「昔ながら」の日本語の良さを見直して、日本人としての心を云々…とのたまう輩も多いようだが、言葉というものは時代によって変化していくものであって、使われなくなった言葉には、使われなくなっただけの理由があるはずである。
 そういった淘汰された古いものを利用して、日本人としてのアイデンティティだのといった妙なことに利用しようという風潮には首肯できない。
 「ゼロきゅうゼロ」についても、私は言葉の流れとして違和感を感じているけれども、時代の変化につれて生まれた新しい日本語なのだろうと納得しようと思う。



 
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by tima-formosa | 2015-12-18 05:48

by tima-formosa